「心を大切に」は、きれいごと?
<ある聖者のことば>
先日、聖者と呼ばれている方のお話を聞く
とても貴重な機会をいただきました。
その時、ちょっと驚いたのは、
その方が
「心は厄介なもの。捨て去りなさい」
という趣旨のことをおっしゃったのです。
(おっしゃった言葉そのものではないのですが・・)
「心を大切にしなさい」とか
「心をこめてやりなさい」と言われると
本当にそうだなと、思うのですが、
心は厄介なものなんて、ちょっと驚きました。
でも、よくお話を聞いてみて、納得できました。
<過去や未来に支配される心>
人の心は、日々の生活の中で激しく動きます。
特に人間は、他の動物と違って、
過去や未来のことも考えられますから、
今、目の前で起きていない事にも
心を乱してしまい、
身体にまでダメージを与えてしまいます。
目の前のことに動揺するのは仕方ないとしても
まだ起きていない未来のことにまで支配さる
人間の姿を、他の動物達が見たらどう思うでしょう。
「今」だけを生きている彼らからすると、
「過去や未来のせいで、今の大切な時間を
台無しにするなんて馬鹿なやつらだ」
という話なのかもしれません。
<今だけを感じる訓練>
このように、
人間の心というのは、
複雑な機能をそなえているために
かえって厄介なものなのです。
真剣に付き合いすぎてしまうと、
ただ疲れるだけで、いい方向には行きません。
では、どうすればいいのか。
以前のブログで書かせていただきましたが、
自分の「心」を、冷静に落ち着いて、
まるで他人のように
客観的に見るクセをつけると、
次第に心からの支配から解き放たれる
ようになります。
もし、それがまだ難しいという場合は、
少なくとも、
過去や未来のことを考えるのを
一瞬だけでもいいからストップしてみましょう。
「今は、な~んにも起きていないし」
と心の中でつぶやきながら、
今の目の前にあるきれいな物を観るのです。
例えば、青空や山、花、夜ならお月様を
見てみましょう。
観るものがない場合は、
私は、聞こえる音に集中することにして
います。
「今」が発する音・・例えば、鳥の声
電車の音、風の音・・。
「今」が動いているのを音で感じるのです。
それでも難しい場合は、
単純な作業をするのがいい
と言う方も大勢いらっしゃいます。
例えば、雑草取りとか、
トイレ掃除とか、梱包材のプチプチを
つぶすとか・・。
単純作業に集中しているうちに、
瞑想に近いような空っぽの状態になるのです。
これ、結構おすすめです。